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リヤカーマン―地球一周4万キロを歩いた男

762478291_40 数か月前にテレビ番組の中でアンデス越えをしていた、リヤカーマンこと永瀬忠志さん。
食料、飲料水、テント、寝袋など長旅に必要な生活用品をすべてリヤカーに積んで、それを引いて旅をするスタイルで、リヤカーの重量は150キロにもなるそうです。

「普通に働いていた頃は、1年、1年があっという間に過ぎて、その1年の間何をやっていたか良く思い出せない。だけど、歩いて旅をすると、1日が長くて、10日にも1か月にも感じる、時間を充実して過ごせる。そしてその時の事をはっきりと、いつでも思い出せる」この様な話に心を打たれました。
Tシャツに短パン、素手でリヤカーの鉄のハンドルをにぎり、日光と照り返しが強いのにサングラスもしない姿を見て、ずいぶん軽装だなというか、準備不足なんじゃないの?という印象を受けたのですが。実はそんなことはなくて、素手なのは感触を直に感じたいから、サングラスをすると景色がよく見えないから出来るだけしないとのことでした。
これにはなるほどと感心しました。楽に進むなら、科学の結晶のような最先端なウエアを用意して、手袋もサングラスもするのでしょう。そもそも徒歩という手段を選ばないかもしれません。すべて自分のルールがあってそれに則っている事、そのルールが自然体で共感を受けました。
番組の中ではリヤカーマンは高山病のような症状が辛くて泣いていました。アンデスの峠の頂上に到達してまた泣くのです。なんで続けるのだろう、辞めたらいいのに、でもすこしずつ進みます。
私は少しだけ分かったような気がしました。なぜ旅を続けるのか。だって泣けるほどの旅ってほとんどないじゃないのかって。例えばバイクに乗ってツーリングへ行って、泣ける程の事があるか。どんなに景色が良くて、どんなに料理が美味しくても、泣けるほどの旅って簡単に出来るようなものではないのでしょう。
泣けるようなあんな旅は最高なのだろうな。そう思います。
私がテレビを見た後に読んだこの本にはアンデス越えの数年前の「南アメリカ縦断」「沖縄一周」「日本縦断」の模様が書いてあります。家族が恋しくて泣いちゃうところが素敵です。自作の詩もグッときました。
景色の描写や現地の食べ物に関する表現はほとんどありませんが、人との出会いや、辛かった時の事が書いてあり、読んでいる方も嬉しくなったり、泣けたり。また、少しずつ進めばなんとかなる。そんなメッセージを受け取れて、読んだ後には勇気をもらえた、そんな気がしました。

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